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□    絶対白夜叉

ぜったいかれしのドラマを見て書きたくなったネタ!
銀土ですー。
土方乙女入ってますご注意!

コメントレス!姉さんー!
景時さん、すごく素敵でしたよー!さすが姉さんイチオシのキャラでした(笑)九郎とのデュエット、またすぐにチェックしますね。譲も是非聴いてみて下さい!
私は黒龍とヒノエのキャラソンを新たに聴いてみましたよー。直純さんの歌唱力にびっくりです。さすがですねー別当…!ってアレ、最後感想みたいになってるじゃねーか!



「…君は、はっきり言って重いよ」

ずっと憧れていた伊東さんの声が、冷たく俺の脳に染みた。
伊東さんの手には、俺が昨日の夜頑張って作ったシュークリーム。箱から取り出されもされていなくて、それは伊東さんが食べる気がないことを意味していた。
重い。それは俺が学生の頃から、幾度となく恋人に言われてきた単語。重くしているなんて自覚がねーから、治しようもない。恋人には尽くすタイプなだけだ、そう言い返せたら。

「十四郎!」
「ッ…お前…!」

突然、この場には不似合いなほどに能天気な声音が響き、俺の目の前に銀髪が立った。先日、突然俺の家に配達されてきたロボット。理想の恋人設定がされていて、俺の望む行動、望む台詞をくれるロボット。だからか、幾分声にも表情にも機械めいた部分があり、俺はコイツを返品したはずだった。なのにコイツはまた俺の前に居る。

「泣いてる。…コイツのせい?」
「何だ君は」

不意に現れたロボットに、伊東さんは眉を顰めた。その伊東さんに銀髪は深く息を吐き出しながら近づき、何の宣言もせずに伊東さんをぶん殴ったのだ。
唐突なことに俺は言葉を失い、伊東さんの眼鏡がカランと床に落ちて伊東さんが呻きながら倒れこんだ音で我に返った。

「なッ…オイ!何してんだお前!」
「十四郎を傷つける奴は許さねェ。俺は、十四郎を守る。俺は十四郎の恋人だから」

”ピンチのときに助けに来てくれる、白馬の王子みたいな奴”
俺が、理想の恋人アンケートの最後に書いた一言。だから、コイツはそんな性格になっている。そう、コイツの言葉、行動は全て、俺が喜ぶように設定されたもの。いつわりの想い。分かっているのに、俺は。
俺は、正直嬉しかった。
呆然と銀髪を見上げている伊東さんを最後に睨みつけて、銀髪は俺を振り返った。その目は優しさを湛えていて、にっこりと笑って俺に手を差し出す。

「行こう、十四郎」
「え?っおわ!!」

戸惑った俺の答えも聞かず、銀髪は俺の腕を取り走り出す。伊東さんを置いて。



走って走って、大きな川に架かる橋にたどり着いた。
走りすぎて疲れた俺は柵にもたれかかる。銀髪はロボットだから息一つ乱さず、だが俺に付き合って柵に腕を乗せる。

「…なあ」
「ん?」
「お前の名前、ナイトってのァどうだ?」
「ナイト?」

銀髪はロボットで、試作品らしい。だから名前がない。コイツを作った会社の奴らは、コイツをゼロワンと呼んでいた。
「十四郎、名前をつけて?」と、初めて会った日にコイツに言われたことを思い出したのだ。

「おう、いいよ。俺はナイトだ」
「俺がピンチのときに助けてくれるから、騎士のナイトだ。いい名前だろ?」
「うん。十四郎、好きだぜ」

コイツはことあるごとに、好きだの愛してるだの言ってくる。俺はそれをスルーするのにも慣れた。
にこにこと何が楽しいのか、俺を見下ろして微笑む背の高いナイト。
俺は、何だか胸に詰まったモノを吐き出したくなって、川を見て深く息を吐く。

「…高校ン時も、大学ン時も、付き合った奴らの最後の言葉は同じだ。お前は重すぎる、ってな」
「十四郎は人よりも素直で、純情なだけだろ。俺は十四郎のそういうところ、すげェ好き」
「ハッ。どうせそれも、設定されてるから言ってるだけだろ」
「そうだぜ?」

当然だとばかりに、優しい笑みのまま躊躇うことなく頷いたナイトに、俺は自分で言ったくせに酷く傷ついた。
そうだ、俺は忘れかけていた。コイツはロボットで、コイツには感情やら心やら、それから勿論俺への愛情なんてのは無いことを。
好きだとか、愛してるだとか、俺を励ます言葉も俺を助けるために伊東さんを殴ったのも、全部全部、ただそう設定されてるからなんだということを。
忘れてはいけないことを忘れていた。

「設定されてるから言ってる。でも、俺は十四郎が好きだ。だって、そういう設定だから」
「…ああ、分かってる」
「十四郎?」
「何でもねーよ」

泣きたくなって、俺は俯いた。ナイトが戸惑っているのが分かる。
しばらくたっても顔を上げない俺に、「どうした?どっか痛ェの?病院か?」とナイトが心配してそわそわし始めた。でも、その心配も設定、なんだろ。

「…平気だ。帰るぞ」
「…十四郎、マジで「平気だっつってんだろ」

まだ心配し続けるナイトを無視して、鞄を持ち直して俺は家に向かって歩き出した。すぐにナイトが俺の後を追って隣に並ぶ。

「十四郎、今日は一緒に寝ねェか?」
「拒否する」
「ならエッチしよう?」
「ふざけんなァァァ!!誰がするかァァァ!!」
「だって俺達恋人同士だろ?俺は十四郎の彼氏だもん」

いつわりの、恋人なくせに。
そんな台詞を吐いても、俺の心の内なんざロボットのコイツには伝わらない。俺は歪んでるであろう笑みを浮かべて走り出した。ナイトが「待てよー」と追って走ってくる。
…忘れないようにしなければ。コイツはロボット。コイツの優しさも愛の囁きも何もかも、全てはいつわりなことを。



終わり!
やっぱヒロインを土方にしただけあって、土方が乙女になっちまいました(笑)乙女土方が好きなのさー!土方は何でも好きなのさー!
でもなんか最後はシリアスになってしまったよ。どういうことだ。そして土方が伊東をさん付けで呼んでることに違和感を覚えたよ、自分で書いておきながら!や、最初は土方が憧れる存在ってことで近藤さんにしようかと思ったんだけど、近藤さんが土方を傷つけるなんて全く想像出来ないし書けないってことで、伊東にしました。
…高校と大学のときの恋人が男なのか女なのかが気になるところです。

にしても、加治目当てで見たドラマなのに思った以上に面白くて、ついついこんな小話を…!加治結構出てて嬉しかった!頑張れ田中!
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