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前からネットで話題になってたけど、ついに公式発表!!成宮くんのなるほどくんがイケメンすぎて笑うしかないww
ていうか御剣が…御剣が工さんだとォォォ!!
工さんは好き!
御剣も好き!
ただイメージが違う気がする!(笑)
うーん…工さんがあのヒラヒラ…。うーん…。でもまあ楽しみです!観る!

かるまごうは絶対に、料理の鉄人の人がいいなと友達と言ってました。そっくりじゃないか?
あー楽しみだー!
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突発的に書きたくなった吉羅夢。甘々を目指したつもり。固定ヒロイン設定ですが、別にそうじゃなくても読めそうな。
ちなみに新婚さんです。












ぺらり、ぺらり。
ページの擦れる音が途切れず、規則的に聞こえ始めてから、かれこれ二時間は経っている。
何が書いてあるのか、わたしにはさっぱり分からない経済の分厚い本を読み耽る暁彦さんの横顔は、至って真剣だ。
黒い革のソファに深く腰掛け、すらりと長い脚を優雅に組んで、時折テーブルに置いたカップに手を伸ばしながらも本からは目を外さない暁彦さん。とても集中しているみたいだ。
だから、わたしは。

「(…ひま、なんて言えないよね…)」

時計を見上げると、まだ午後3時半。久しぶりに一日休みな暁彦さん。
眩しいくらいに晴れたお天気のおかげで早々に乾いた洗濯物を畳みながら、わたしは何度も、暁彦さんが本を閉じないかと盗み見ている。
何回か、見ているのがバレて……あ、今も、また。
ふっと顔を上げて、わたしをきれいなルビーの瞳で見つめて、優しすぎる微笑みを向けてくれる。

「よく乾いているかね?」
「え?」
「洗濯物だよ。今、君が畳んでくれている」
「あ…。は、はい。もちろんです。ちゃんとアイロンもかけておきますね」
「いつも助かるよ。ありがとう」

柔らかな声音でお礼を言われ、わたしは首を横に振る。
会話は終わったとばかりに、暁彦さんは再び本に目を落とした。
…寂しい、なんてばかみたい。こんなに側にいるのに。同じ部屋にいるのに。

「(そうだ。お風呂も洗っておかなくちゃ)」

寂しがってる場合じゃない。お風呂も洗って、夕飯も作らないと。
よし、と気合いを入れて、暁彦さんのワイシャツにアイロンをかける。
ぺらり、ぺらりというページの進む音は途絶えない。時々、かちゃり、とカップの音が間に挟まる。

「(…暇だなあ)」

もうちょっと、ほんの少しでいいから、構ってくれないだろうか。…なんて、わがまま言えないけど。









アイロンを終えて、お風呂を洗い終えて、夕食の下ごしらえを終わらせて、やることがなくなってしまった。
時計を見ると、五時半。リビングのソファをこっそり見ると…二時間前と全く変わらない体勢で本を読み続ける暁彦さんの姿。変わったことといえば、本の残りページと空になったカップ。
ほんの少しの期待を胸に、こそこそと暁彦さんの側に寄って、わざとカップを音を立てて持ち上げる。
――暁彦さんはものすごく集中しているのか、わたしに気付かずずっと本を読んでいる。もしくは気付いてるけど反応しないのか。
がっかりしながら、カップに二杯目のブラックコーヒーを入れて、今度は本当に気を配ってそうっとテーブルに戻す。やっぱり暁彦さんは微動だにしない。

「(…今日は、もう仕方ないか)」

暁彦さんは久しぶりの一日オフ。自分の時間をおろそかにしたい人なんていないし、今日はゆっくりさせてあげなきゃ。
寂しがり屋な自分にそう言い聞かせて、わたしは自分も何か飲もうかと再びキッチンに立つ。
…あ。

「(そうだ、香穂ちゃんに電話しなきゃ)」

来週の土曜、久しぶりに天羽ちゃんと三人で会おうって誘われてたんだった。
早めに返事しなきゃと、わたしはリビングのテーブルに置きっぱなしだった携帯電話を取る。暁彦さんは、本にぞっこんだ。……ぞっこんって死語?
キッチンで電話しても読書の邪魔になりそうで、わたしは廊下に出て香穂ちゃんに電話をかける。
すぐに電話に出た香穂ちゃんは元気そうで、わたしは会った時に話そうと思っていた話題をいくつか出して、久しぶりのおしゃべりを楽しむ。
そうして十分後。

『――それでね、来週の土曜はそこに行こうと思うんだ』
「香穂ちゃんオススメのカフェなら楽しみだな。天羽ちゃんにもね、いっぱい――」

話したいことが――。
そう続けようとしたわたしは、後ろから突然伸びてきた腕にびっくりしてつい絶句した。

「っ!?」
「………」

背中から腰に回る両腕はもちろん暁彦さんで、ぎゅうっと強く抱きしめられる。コーヒーの香りがふわりと鼻をくすぐった。
電話の邪魔をする気はないのか、無言のままの暁彦さん。まるで甘えるように、わたしの肩口に顔を埋めて。

『もしもし~?聞いてる?』
「あ…、ごめん香穂ちゃん、聞いてなかった!」
『そんな堂々と聞いてなかったなんて言われても!…どうしたの?忙しい?』
「う、ううん。忙しくないんだけど…」

どうしようと暁彦さんをちらりと見ると、暁彦さんは何も言わずに腕の力を強める。
首にあたる黒髪がくすぐったくて、肩を竦めた。こんな状態で電話なんて出来ないよ。

「…ごめん、香穂ちゃん。やっぱり、またあとでメールするね」
『やっぱり忙しかった?うん、それじゃ待ってるね』

香穂ちゃんは突然忙しいなんて言い出したわたしを詮索することもなく、気を害することもなく電話を切ってくれた。
通話の切れた携帯を握りしめて、わたしは顔を上げた暁彦さんを見やる。
暁彦さんはわたしの頬に一瞬だけのキスを施すと、ようやく腕を解いた。

「…すまなかったね。無理に電話を切らせて」
「いいえ。…ごめんなさい、うるさかったですか?」
「いや。…君が側にいないと、集中出来なくてね」
「本に、ですか?普通、誰もいない方が集中出来るんじゃ…」
「君に関しては、残念ながら私は普通ではない。…来たまえ。あと少しで読み終えるんだ」

リビングまで腕を引かれながら、わたしはちょっとだけむっと唇を尖らせた。
わたしは何時間も、寂しいのを我慢して静かに、静かにって頑張ってたのに。暁彦さんはたった十分しか寂しさを我慢してない。
わたしが側にいないと集中出来ない、なんて台詞でわたしが喜ぶとでも……喜ぶけど……そりゃ喜んじゃうけど……。
またソファに腰掛けて本を開く暁彦さん。その隣にはわたし。やっぱりひまで、わたしは暁彦さんなんて困っちゃえばいい、なんて意地悪な気持ちで、その膝に寝転がった。
目を丸くしてわたしを見下ろす暁彦さんに、にっこりと笑ってみせる。

「側にいるだけじゃ、わたし、何もすることなくて」
「だから膝枕、かね?私の膝では眠れないだろう」
「眠るだけが膝枕じゃないと思います。…暁彦さんの顔、よく見えますから」
「…随分と甘えるのが上手になったね」

暁彦さんの口角が緩やかに上がる。そのままゆっくりと近づいてくる暁彦さんの顔を、わたしは目を閉じて迎えた。
ぱたん、と。
本があっさり、閉じる音がした。







fin.








急に甘々な吉羅夢を書きたくなった!いつもながら固定ヒロインですみません。でも今回は固定ヒロインじゃなくても読めるかな?
後ろから抱き締められるシチュが大好きな私でした。
吉羅をこっぴどくフッてしょんぼり(´・ω・`)させる夢を見た。
はじめからやり直させてください。
□    アニメ
やばい…!テニプリを好きになってもうすぐ10年になるというのに…。
今更ながら、大石のキャラソンにニヤニヤが止まらない…!!!!
でも大石が好きなわけじゃないんだ。ただ声がなるほどくんだから…!!!
なるほどくんが歌ってると思うとニヤニヤニヤニヤニヤ!でも…レイトンvs逆裁でのなるほどくんは近藤さんじゃないんだよな…。近藤さんのブログ読んで私も切なくなった。そりゃショックだろうに…。
どうして近藤さんを降ろしたかぷこん!!せっかくなるほどくんがアニメで動いたってのに!なぜ近藤さんじゃないんだ!!

逆裁は2が終わって、次はいよいよ名作と名高い3に入りますよー。楽しみすぎる!でもパッケージから御剣が消えてるんですがどういうことだ…?出番少ないのか…?
3が終わったら検事1をやろう!
ところで…なんか、黒歴史認定されてる4は、なるほどくんが弁護士じゃないって本当ですか…!弁護士資格はく奪されたって…何があったんだ…。ショックすぎてそれを知った時にうっかり涙目になったよ…。
でも4のPVを見たらメガネの素敵なキャラがいたので、その人は気になってますwwなんか金髪のニクスっぽい感じの人がいた!よし、きっと好きになる!大丈夫、御剣が出なくても、なるほどくんが弁護士じゃなくても、きっと4は楽しめる、はずだ!
むしろ4から入れば良かったのかも知れない…。今更後悔。レイトン教授vs~の新作で、主人公がなるほどくんに戻ったのも4の評判を受けてなのかな?でも声変わってるとか…!(エンドレスがっかり)

とにかく2をプレイして、なるほどくんのカッコよさに気付きました。ほんと、ほんとにかっこいいよなるほどくん!
特に真宵ちゃんのために無罪を勝ち取ろうともがくなるほどくんに萌え死んだ。ナルマヨはんぱない!萌え!
傍聴席からの有罪コールにもめげずに、ただ真宵ちゃんのために立ち向かうなるほどくんに惚れない人はいない。
御剣も2になってびっくりするくらい丸くなりましたねー。一年間の充電期間ですっかり立ち直ったらしい御剣。1後半のよわよわしいみったんはどこに行った。でもどっちの御剣も好きなんだ!好きだけど未だに下の名前の漢字が分からない!
2は冥たんも素敵だったー!3にも出てくるのかな?出てこい!ムチでなるほどくんを思う存分叩けばいいよ!
「お盆を運んでサツタバがもらえるのならば…誰が検事などやるものか!」→この名台詞は忘れません御剣。
とか言いつつ、2だとサーカスの話が好きなんですけどね。やりきれない事件だったあれは…。誰も悪い人いないのに…。あれほど真実を暴きたくなかった事件はない。

今は大石キャラソン「TWO」を聴いていますよー。なるほどくんヤバいよー。かっこいいよー。「恋風」も今日何回聴いたことか。歌詞よく知らないんですが、名曲と言われてるみたいだし歌詞も良いのかな?
バレンタインキッスももうなるほどくんが歌ってるって頭が変換するので、爆笑しながら聴いてましたww
ほんとに今更だよ大石とか!なんて言いながらも確かテニプリを読み始めた時は手塚と大石が好きだったはずだ!


さて、今期のアニメは私的には多く見ている方です。
毎週楽しみにしてるのは、やっぱり銀魂と世界一初恋!!銀魂…今週のはひどかったwwでも来週から四天王編ですね!今週は高杉くんが可愛かったです。あと私のハニーも可愛かったです。ポップコーンにマヨかけたら食べづらくないか…?そんなばかなところが可愛い。とにかく可愛い。

世界一初恋は、原作確か2巻までしか買ってないはず…。いつも続き買おうとするんだけど忘れちゃうんだよなあ…。
アニメで初めて、羽鳥と…誰だっけ。受けの名前忘れたけど、羽鳥側のカプの話知りましたが、小野寺たちより好きだ!!(笑)
というのも政宗みたいな俺様攻めはあんまり好きじゃないんですよねー。純ロマでも暁彦…じゃなくて秋彦さんはあんまり。ロマかエゴかテロだと、だんとつでエゴ大好きです。野分が欲しい。
来週はまた違うカプの話なのかな?楽しみだ!しかし家に誰もいないときを見計らって見ないといけないアニメだなww

「デッドマン・ワンダーランド」も見てます。原作全く知りません。グロすぎて、そろそろ限界のような…!だって…!どうして目玉を取るの…!
またパクさんの演技が痛々しいから余計にぎゃああああってなりながら見てます。でもシロちゃんの謎知りたいなあ。あとあの所長さん?タイプ!美人!

アザゼルさんもそういえば毎週楽しみです。ゲスト声優さんが豪華ですよね!中井さん出てきてキャッホーイってなりました!草尾さんも…あんな役…(笑)
アクタベさん?の、あの女の子に対しての微妙な優しさにキュンキュンです。そしてアザぜルさんのうっとうしさは凄まじい。

あれ、結構見てると思ってたけどこんなものか?DOGDAYSも見てたんですけど途中から見なくなったし、シュタインズゲートはいつか見ようと思ってます!「あの花」も面白いらしいですねー。

ていうか夏アニメが!!もう今から楽しみすぎてわくわくですよ!!「BLOOD-C」!!一体どんなBLOOD新シリーズになるのか!!
シリーズ最後の作品が実写映画の「ラスト・ブラッド」、だったかな?あれは…うーん…だったからなあ…。新作に期待!!
「君と僕。」も夏だったっけ?原作ファンですからねー。キャストがドラマCDと変わらないことを祈る。あ、でもこーちゃんは変わってもいい(笑)
というのもイメージとまったく違ったんですよね、こーちゃんだけ。別に嫌いなわけじゃないんだけども。…要って誰だっけ?鈴村さんだったかな?
あとは夏目の三期ですよね!!あー楽しみ!!また毎週じーんとする時間がくる!

そういえば、新しくなったワンピのオープニング、神だと思ったのは私だけだろうか…。オープニングで泣いたんですが…!ロビンー!!
これからしばらくは感動のターンだし、仕事前には見られないなワンピ。


というのが、最近の私のアニメ事情でした(笑)
ところで今聴いてる大石のキャラソンで、途中に「噂されちゃうよ」って台詞が入る曲を聴いてるんですが、一体タイトルは何なのでしょう?歌詞からしてラジオのオープニング曲っぽい!










はらはらと、霧に濡れた葉が風に乗り、地に落ちる。
その葉を無慈悲に踏みにじりながら、月光の届かない山深くへと走る足音は、二つ。

『逃げて下さい』

そう、言い残した人は、銃創から夥しい血を流しつつも不敵に笑い、大きな刀を手に戦場へと去って行った。去ってしまった。

『逃げて下さい。殿を頼みます』

最期の言葉が何度も脳裏をよぎる。飄々として、澄み渡って、綺麗で、勇ましく、潔く死を覚悟した男の眼差しだった。
あの人が好きだった。ずっとずっと好きだった。髪を撫でる武骨な手が好きだった。揶揄を飛ばす低い声が好きだった。
何よりも、恋人よりも大切なものの為に生きた心が好きだった。

息が切れて来た。ずっと走りっ放しだ。後ろをついて来る呼吸も辛そうで、ちらりと振り返る。
赤茶の艶やかな髪は血と汗と細かな霧に濡れ、青白い頬に張り付いていた。
右手に握る扇も真っ赤に染まり、具足は泥にまみれている。
瞳は、関ヶ原決戦完敗という残酷な現実に揺れ、震え、今にも透明な何かが溢れ出してしまいそうだった。

『逃げて下さい。殿を頼みます。大阪まで守り抜いて下さいよ』

左近様、三成様は今すぐにでも腹をお召しになりたそうにしか見えません。それでもあなたは逃げて再起を図れと言うのでしょうか。絶望に浸かり切った、この脆く細い肩に、まだ希望を無理矢理にでも背負わせようとするのでしょうか。
目より下を隠す黒い布が、じわりと涙で濡れた。この可哀想な敗北者を、大阪まで逃がした所で何の意味があるのでしょう。また次も負けたなら、何処まで逃がせばよいのでしょう。旧友と命を奪い合う非業に、何時まで翻弄させればよいのでしょう。
左近様。もういない。もういないのなら、命を破ってもよいでしょうか。

私は足を止めた。三成様が慌てて隣で足を止める。激しく呼吸を繰り返しながら、戸惑った眼差しで私を見つめた。

「っ…は……ッどう、した…?」
「三成様は、どうなさりたいのでしょうか」
「…?大阪へ、と…左近が、」
「三成様の願いは臣下の願い。ですが臣下の願いは三成様の願いではない」

三成様は言葉をなくした。紫色の唇が小刻みに震える。
追っ手の気配に木々がざわめいた。人数、六。徳川家の有する忍軍団だ。
まだ遠い。だけどすぐに追いつかれる。私のような一介の忍が、あの服部半蔵率いる忍軍団にいかほど太刀打ち出来ようか。
しかし、さほど大した問題ではない。

「三成様、どちらへ参りましょう」
「…俺、は…」
「何処へでも」
「……左近がおらぬと、俺もお前も迷い子か」

三成様がくしゃりと泣きそうに微笑んだ。いや、目尻から一筋、涙が零れ落ちた。

『逃げて下さい。殿を頼みます。大阪まで守り抜いて下さいよ。殿さえ無事なら、希望は潰えない』

潰えるのです。三成様の脈は正常に打っていても、左近様の脈が途切れてしまえば潰えるのです。泣いてしまうのです。迷ってしまうのです。立ち止まり、見失い、途方に暮れて、空を仰ぎ、喉を嗄らし、拳を握り締め、何度も何度も、左近様の最期の笑みを、何度も、思い出す。

三成様は目を赤くさせながら空を見た。この潰走が始まってから、ようやく今、普段の沈着さを取り戻していた。

「…最期に、大阪城を一目見たいと、思う。秀吉様の豪奢な城を、今一度」

三成様の願いに、私は頷くと白い左手を取り再び走り始めた。逃げる為に走っていたさっきまでとは違い、願いを果たす為に走る今は、酷く清々しい。
足取りも軽い。疲れも痛みも彼方へ去った。追っ手は更に近付いている。三成様も私も分かっていた。到底逃げられない。

私は不意に三成様の手を乱暴に引き寄せ、なだらかな傾斜を転がり落ちた。山道から逸れた獣道に落ち、三成様が呻く。
私は三成様の髪についた葉を払って、その身を起こさせた。そして自らの忍装束を脱ぎ捨てる。三成様が目を見張った。

「何をしている!」
「左近様の願いを、叶えます」

左近様は言った。その最期の声を一言一句漏らさず、私は声に乗せた。

『逃げて下さい。殿を頼みます。大阪まで守り抜いて下さいよ。殿さえ無事なら、希望は潰えない。…あなたに殿を託す意味、分かってますね?』

左近様、あなたが好きだった。朗々と恋人に死を促す非道ささえも。
私は顔を覆っていた布を取り払った。三成様の目が苦しげに歪む。三成様の瞳には、三成様と双子とも見紛う私の顔が映っていた。
肩につく赤茶の髪。冷酷とも言われる鋭い瞳。鼻も唇も肌の色も、性別を除いて、私は三成様と同じ。
左近様、私はちゃんと分かっていました。こういう時に三成様の影武者をさせる為に、あなたが私を側に置いていた事を。それでも構わないと思っていたから、私はこうして務めを全うしようとしているのでしょう。
ただし、私は結局あなたの望みを叶えられない。もうこれ以上、過酷な宿命に傷ついていく三成様を見ていられないのです。
だから私のこの顔は、三成様の新たな生の為に使う。左近様、ごめんなさい。でもきっと許してくれる。三成様を、命を懸けて逃がした左近様なら、きっと。

私の脱いだ装束を三成様に手渡す。三成様はうなだれた。山の獣も、戦の音に怯えて去った静寂の中で、私は一糸纏わぬ姿のまま、三成様の覚悟が決まるのを待つ。
やがて三成様の指先が自らの鎧を解き始めた。追っ手の足音が微かに耳に届いた。
服を交換し終えると、私は三成様の扇を握り締めた。指が冷え切っていて感覚がないと、今気付いた。

「三成様、無事に大阪城へ辿り着いたなら、そのままひっそりと生きて下さいね。決して投降などなさいませんよう。これから石田三成として命を散らす私が無駄になります故」
「………左近は、ちゃんとお前を愛していた」

三成様はその言葉を最後に、西へと山道を走り去った。なんて優しい台詞を残して下さったのでしょう。
その背を見送るとすぐさま、私は死ぬ方法を企て始める。
敵方に捕まっては性別から偽者と知られてしまう。遠目に私を石田三成と判別させ、しかし捕まる事なく、屍さえも彼等には渡さず、されど確実に死んだと分からせなければならない。

「……崖」

崖から落ちるのがいい。際で追っ手に追い詰められ、少しの抵抗を見せ私の外見をその目に焼き付けてから崖から落ちるのがいい。出来れば下は川がいい。流されてしまうのが一番見つからない。

「……左近…様」

あなたもこんな気持ちだったのでしょうか。果てのない暗闇へと歩み寄る、この恐怖。三成様が逃げる時間を稼ぐ為に重傷の体で戦場に立ったあなたは、いつものように鷹揚に笑っていたけれど、それはどんな感情を潜めていたのでしょうか。
左近様。もういない。私も、いなくなる。
追っ手が間近に迫る気配に、私はわざと足音を立てて走り始めた。
はらはらと、葉が落ちる。無慈悲に踏みにじった。











「……怖い夢でも見ましたか?」

左近先生のあったかな掌が、汗で額に張り付いた前髪を払ってくれた。ああ、私はぐっすり寝ていたらしい。
鮮やかな朱色で満たされた夕暮れの保健室。左近先生の皺くちゃな白衣に、私は抱きついて涙に濡れた顔を拭う。左近先生が困ったように苦笑した。
頭がぼんやりする。これは夢?それとも現実?

「学校ではくっつかないようにと、何度も言ってるんですがねえ」
「……死ぬ夢、見たの」
「死ぬ夢?」
「……死にに行く夢って言った方が正しいかも」
「それは怖いですね。でも大丈夫ですよ、あなたは二度と死にに行く必要などない」

左近先生の手が背中を優しく撫でていく。希望なんてない山中を、徐々に追っ手に追いつかれながら、恋人には影武者を頼まれて、散々な夢だった。胸がきりきりと締めつけられて痛い。
頭がぼんやりする。これは夢?それとも現実?

「左近先生、」
「どうしました?」
「左近先生は私のこと、ちゃんと好きですか?」

大きく逞しい体をぎゅっと捕まえて、左近先生の胸に頬を押し付ける。大好きな先生。いつから好きだったかしら。とりあえず大好きな人。髪を撫でる武骨な手が好き。揶揄を飛ばす低い声が好き。

「ちゃんと好きですよ。次は幸せにすると、決めていますから」
「次、は?」
「ええ」
「……前の彼女の話してる?」
「あながち間違っちゃいませんが、安心して下さい。俺は今も昔も、あなた一筋の男ですよ」

前の彼女の話とか持ち出しながら、今も昔もとか!
適当すぎる左近先生をじろりと睨むと、先生は動じた様子もなくへらりと笑った。
その笑顔が夢の中の左近様と重なって、私は焦って先生の手を掴む。
行かないで。
咄嗟にそう感じた。夢?現実?

「先生…」
「…まだ混濁してます?俺はしがない養護教諭ですよ。戦人じゃない」
「う、ん……」

どうして、夢の内容を知ってるの?
そう訊きたいのに急激に眠くなって、再びベッドに身を横たえつつ私は必死に重い瞼を開ける。
はらはらと、開けていた窓から葉が一枚、風に乗って入って来た。左近先生の手が慈悲深く、その葉を指先で愛でる。
もう起きていられない。またあの怖い夢を見るの?

「俺がいますよ。安心して眠って下さい。…辛い夢なんて、あなたは見なくても構いませんから」

左近先生の手が私の頬を撫でた。
不思議と、さっきの怖い夢は見ない気がした。良かった。絶望に沈む山の中で、独り、命の灯火を消す瞬間なんて、もう見たくない。

「……逃げましょうか。その夢から、今度は二人で」

左近先生の手が、迷い子の私を導くように伸ばされた。
ああ…今いるこの保健室が現実だ。左近先生の温もりが、そのとてつもなく幸福な事実を教えてくれる。
好きな人が側にいる。それは、とても奇跡なことなんだ。












fin.










前から関ヶ原敗戦後の逃避行は書いてみたいと思っていたんです。でもいざ書いてみたらあまりにダークだったので、救いになればと転生設定にしてみた!三成はちゃんと転生してるんだろうか(笑)
てか転生設定にしなかったら左近がただの酷いやつで終わってた。
しかしシリアス楽しいなー!
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