いとしい人へそれは永遠の輝き

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2025/02/12

突発的なぱっつち小ネタ！！

不倫ネタですので要注意！シリアス！

■

２番目でいいから、愛して欲しかった。

遊びでいいから、求めて欲しかった。

「十四郎」

先生の甘い囁きの向こうに、下校時刻を知らせるチャイムが響いた。
部活を終えたあと、走って道場からこの国語科準備室まで来たけど、やっぱ部活後の逢瀬は時間的にキツイものがある。
俺がこの部屋に来て、銀八に後ろから抱きしめられてから、まだ５分弱だ。
試合が近くて部活をギリギリまでやってっから、それも仕方無ェことなんだけど。

「…先生」
「うん、もう時間だな」

先生はあっさりと俺を解放した。
背中に感じていたぬくもりが離れて、暖房なんてついてねェ部屋で俺は寒さを覚えて身震いする。

この関係を始めたのは、いつだったか。
結婚指輪を左手に嵌める先生が、俺をこの部屋に連れ込んだ。
「暇だから」と。
「最近、奥さんが子供と遊んでばっかで、つまらない」と。
「お前、俺のこと好きなんだったら遊ぶ？」と。
魅力的で、最低な誘い文句。
俺は乗った。
俺だって、暇だった。
毎日毎日、変わり映えのない生活に飽き飽きしていた。
近藤さんは志村妙に恋してて、総悟はチャイナと喧嘩してばっかで、俺も最近つまらなかった。
それに、俺は先生が好きだった。
苦しくなると分かっていた。
先生は俺をオモチャとしか見てねェ。それでも、先生の特別になれるのなら、いいかと思った。

「送ってこうか」
「お願いします」

チャリ、と原付の鍵を白衣に入れる先生に、俺は耽っていた顔を上げた。
いつまで、この関係は続くのか。
きっと、俺が卒業したら終わりのゲーム。先生は俺を忘れ、平和な家庭を築きながらもまた新たなオモチャを見つけて暇を潰すんだろう。
俺は？俺はどうしたらいい？
先生を忘れて、大学で恋人をつくる。それもアリかもしれない。
先生を受け入れてから、俺は男に抱かれる快感を知ったけど、別に女相手でも俺は構わない。むしろ、先生以外の男なんて、おぞましくて想像もつかない。
…いや、男だけじゃねェ。
先生以外の誰かが俺の体に触れる、それすら考えられないのだ。

「十四郎、どうした」
「…先生、」
「ん？」

訊いてみたくなった。
答えによっては、今ここで終わらせようかと。
衝動的に。感情的に。俺は今、そんな気分だ。

「俺のこと、好きですか」

もしかしたら、こんなことを訊いたのは初めてだったかもしれない。
先生は全く驚かなかった。それどころか、意地の悪い笑みで、俺を見つめた。

「好きだよ？奥さんとガキの次くらいに」
「…そ、ですか」
「順位高いだろ？俺ン中じゃ、お前は３番目だよ。喜べ」

喜べると、思ってるのか。
先生は本気で言ってるからタチが悪い。
確かに思っている。
２番目でも、３番目でも４番目でもいいから、俺だけを求めて欲しいと。
だけど、俺の上に誰かが居るということが、こんなにも苦しいことだったなんて。

「ほら、帰るぞ」
「…はい」

先生は酷い人間だ。
俺も、馬鹿な人間だ。
先生の薬指にキラキラと輝く指輪は、いつまでも俺を苦しめる。
綺麗な指輪。奪って捨ててしまいたい。

先生の後に続いて準備室を出ながら、俺は一生埋まることのないだろう左手の薬指を撫でた。
いつか捨てられる。今目の前にある、この広い背中に。
それまでは。どうか俺を愛してくれ。…遊びでも。なんでも。

俺を監視するように光る指輪から視線を外し、俺は軋む胸をそっと抑えた。

■

オチをつけるのが苦手な樹雫ですこんばんは。
不倫はいけません。絶対いけません。
…でも土方をかわいそうな目に遭わせるのは大好きです！（歪んだ愛）

2008/02/25 感想 TB: C:0

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