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「…あなたが好き、なんですよ」

トランクの小さなタイヤが転がる音に、忙しなく行き交う人たちのざわめき、飛行機の滑走路を走る騒音。
それらの雑音に混じることなく耳に届いたアーネストの声は、いつもの皮肉屋さんで不遜な声色とは違う……とても、困ったような声だった。

「え……?」

驚いて見た左隣。アーネストはやっぱり苦笑しながら私を見つめている。小首を傾げたと同時にさらり、揺れる前髪がきれいだった。

「本当は好きな人なんていないんですよ。あなた以外にはね」
「…でも、……だって…そんな…」
「ずっとあなただけを見てました。だけどあなたもあの人だけを見ていたのを、知ってしまったから」

ずっとアーネストはやさしかった。いつも隣にいて、私を支えてくれた。導いてくれた。それは私が――あの人に報われない恋をして苦しんでいた時も変わらなかった。
……辛かったの?
私があの人に焦がれて、それでも叶わないと嘆くのを励ましてくれた傍らで、あなたも嘆いていたの?

「…これを」
「これは…搭乗券?」
「もしもあなたが私を選んでくれるなら、…待っています。一緒に行きましょう。私の実家へ」
「…アーネスト…」
「―…ゆっくりでいい。少しずつでいいんです。…私を、見て欲しい」

そう、切なく囁かれた言葉は、痛いくらいに胸に突き刺さる。だって片想いのつらさは、…私にもよく分かるから。

「……では、また後ほど。My princess」

押し黙ってしまった私に小さく微笑んで、頭を撫でていったアーネストが荷物片手に搭乗口へと消える背中を見送る。

どうしたら…いいの…?
あの人はいつも遠く、手の届かない夜空で輝く一番星。誰もが憧れる尊い星。私はいつだって地上から見上げて、触れられないと知りながらも指を伸ばしていた。
アーネストは違う。ずっと隣で、同じ速度で歩いて来てくれた。私がつまづいた時は足を止めて待っていてくれた。時には歩けなくなった私の手を取って、何度も引っ張り上げてくれた。

「……アーネスト…」

…どうしたら、いいの?
私の心には、誰が住んでいるの?

「――12時15分発、イギリス行きの便、最終搭乗受付のご案内でございます」

空港内にアナウンスが響く。私を呼ぶその内容。だけど私はアーネストから渡された搭乗券に目を落としたまま、動けなかった。


















唐突なイケメンですねパロ!なぜシュウを選ばないミオおおお!!(´Д`)
どうでもいいことですが、アーネストのライバルでゆきちゃんの想い人は晋作のつもりで書いてました。人気アイドルグループのボーカルな晋作……全く想像がつきませんが(笑)
というか本当は晋作に「俺もお前に100点をやる」と言わせたかったんですが…アーネストのターンで終わってしまった!


そして全く関係ないけど私の旦那・若サマ誕生日おめでとう!確か9月4日だった気がする!ブーですかね?ピンポンかな?



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