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内容は全然祝ってませんが愛する理事長の誕生日記念夢です!
若干アダルティかも。たいしたことないけど。







未だ年が明けて三日目だというのに、何が悲しくてこの男は仕事などしているのだろう。しかもこの男、今日が誕生日である。
彼の「匂い」を辿って来てみれば到着してしまった星奏学院の理事長室。あたしはノックもせずに入室した。

「………」

突然の来訪者に弾かれたように頭を上げた吉羅暁彦は、やはりデスクに向かっていた。手には書類。
予想を裏切らない状況にあたしは噴き出しそうになりつつも、それを抑えて明るく笑ってみせた。

「りーじちょ!明けましておめでとうございます!あと誕生日おめでとうー!」
「…今日は遠慮してくれないかね。朝から体調が悪い」

他人が聞いたら会話が噛み合ってないと首を傾げるだろうが、あたしはしっかり意味を理解した。
もうこりごりだと言わんばかりの顔をして書類を投げた吉羅暁彦に足早に近付き、その綺麗な顔に指を這わせる。

「真っ昼間から動いて、あたしも疲れてるの。だからリジチョの言う事は聞けないですね」
「最初から聞く気などないんだろう。誰よりも横暴なお前の事だ」
「分かってるなら早くして。…ついでにカーテンも閉めて下さる?明るくて吐き気がする」

吉羅暁彦の頬を軽く叩いてから目を逸らし、あたしはふかふかのソファに飛び乗った。
彼はしばらくあたしを睨んだまま微動だにしなかったが、やがてのろのろと立ち上がりあたしに言われるがままにカーテンを閉める。
暗くなった室内。でもあたしにはさっきより余程視界がクリアになった。

「…電気をつけても構わないかね」
「毎回飽きもせずによく訊きますね。余程物覚えが悪いのかしら?答えはノーよ」
「…お前と違って私は、暗い中を自由に歩けないんだが」

カーテンから漏れ出る微かな光を頼りに、あたしの獲物はゆっくりとソファに近付いてくる。
その様子は普段横柄で尊大な彼からは予想もつかなくて、あたしは大爆笑だ。
普段とのギャップが大きい人は好き。服従のさせがいがあるから。
やがてあたしの笑い声に導かれて吉羅暁彦がソファの前に来た。でもそれ以上動こうとしない。

「早くして下さい。それとも無駄にあたしを焦らして痛くして欲しいの?」
「…今日は、本当に体調が良くない」
「知らないわ。あたしはわざわざリジチョの誕生日を祝いに来たんですよ?その褒美を貰うだけ」
「…頼む。いつもより量を減らしてはくれないかね。少しで構わない…」
「好きなくせに。失神しちゃうまでされるのが」

可笑しくて笑っちゃう。あたしが他人の言うことを聞かないって知っていながら、往生際の悪い男なこと。
でもあたしに適わないと知りながらも抵抗をしようとする馬鹿は嫌いじゃない。素直に言われるがままの奴は味気ないから。
あたしは立ち上がって吉羅暁彦の左手をそっと取った。ぴくりと彼の指先が痙攣する。
手首、そこの血管に流れる血。あたしの主食。とびきり美味しい吉羅暁彦の血。
あたしが彼の血しか飲まなくなってずいぶん経つ。吉羅暁彦の血はとても美味だし、何よりそういう契約だから。
吉羅暁彦があたしに従うなら、あたしは吉羅暁彦以外の人間に…星奏学院の生徒には手を出さないという契約。
邪魔な腕時計を放り投げて、白く細い手首にあたしは口づけた。浮いた血管に緩く歯を立てると吉羅暁彦が息を呑む。

「止めてくれ…そこからは…」
「なら早く準備して下さいます?リジチョが一番イイところ、教えて下さい」
「…必要最低限しか吸わないと約束したまえ」
「寝言は寝てから言いなさい。あたしは命令されるのが大嫌いだと知ってるでしょう?」

きっと彼が嫌悪感をあらわにするだろう笑顔を浮かべて、あたしは吉羅暁彦の首筋を撫でた。
ゆるりと鎖骨をなぞり、シャツのボタンに手をかける。
すると乱暴に払いのけられた。ボタンには彼自らが触れて、もぎ取るように一つ一つ外していく。
彼は首からの吸血が好きなのだ。手首は結構痛いみたい。あたしは手首から吸われた事がないからその痛みを知らないが。

「逃げられないって分かってるくせに、毎回素直になるまでが長いんだから」

黙ったままあたしの前で素肌を晒していく彼を嘲った。
吉羅暁彦は憎しみの籠もった酷く醜い顔であたしを睨み付けた。綺麗な顔をしている人間がそんな表情をするのが、あたしは大好きだ。

「…誰が大人しく何百歳もの吸血鬼に身を委ねるものか。早く消えて欲しいと願っているよ、心から」
「カーテンを閉めた時点で、あなたの負けよ。…気持ちイイでしょう?血を吸われるのは」

これまで獲物にしてきた人間達の末路を思い浮かべながら、あたしはソファに再び腰掛け手を伸ばした。

最初は誰だって嫌悪する。吸血鬼という摩訶不思議な女に理不尽に服従を強要される事に。
だがあたしに適わないと思い知り、吸血される悦びを知ってしまった人間は最終的に自ら下僕になりたいと言い出すのだ。
そうなった人間の血は本当にマズくて、あたしがいなけりゃ生きていけないと泣く人間をあたしは何人も放り出してきた。
吉羅暁彦がそうなってしまうまで、あとどれだけかかるだろうか。とても楽しみだ。…簡単にはそうなって欲しくはないが。

シャツの前を完全にはだけさせた吉羅暁彦の手が、伸ばしたあたしのそれに重ねられる。
あたしは彼の手を引っ張り、次の瞬間にはソファに転がった彼に馬乗りになった。
人間はなんて軽くてのろいんだろう。本当に可笑しくて楽しい。

「吉羅暁彦、あなたもいつかは自分からあたしに跪くの」
「止めたまえ」
「そして乞うわ。血を飲んで下さいって。ずっと側に置いて下さいって」
「黙れと言っている!」

整った顔が激昂に歪んだ。その表情が何よりも好きなあたしは酷い奴。
彼が身を捩るのを拘束して白い首筋に容赦なく歯を突き立てた。尖った歯が皮膚を破った瞬間、彼が鋭く呻いた。
ちろちろと流れ出る甘い血で喉を潤す。多分一週間ぶりの血はとても美味しくていくらでも飲めちゃいそうだ。
吉羅暁彦が仕事が忙しいと素っ気ないから。
血の飲めない期間が長い程、久々の吸血は量が多いのだと何故分からないのか。

「ッ……、もう…」

荒い息を必死に押し殺しながら吉羅暁彦があたしの体を押し返そうともがく。
だがただでさえ彼は人間の上、急速に血を失っているから貧血気味だ。そんな彼の力など軽く無視出来るレベルで。
ごくごくといつもより多めに血を頂いていると、吉羅暁彦の低い声がか細く鳴いた。

「あ、ッやめ…!もういい、だろうっ」
「最後までして欲しくないの?」
「は…ふざけ、たことを…ッく…」
「中途半端はツラいんじゃないですか?」
「し、ぬ…」

だんだんとあたしの服をすがりつくように掴んでいた吉羅暁彦の指先がほどけていく。
荒かった呼吸も静かになってきて、これはやばいなとさすがに感じてあたしは唇を離した。
ふたつの牙痕から一筋赤い血が白い首を零れて、ワイシャツの襟元を汚した。

「…理事長?」

答えはない。顔を見ると真っ青で、瞼は閉じられている。
脈はちゃんとあるし、頬を叩くと眉が不満げに動いたので気を失っただけだろう。

「…殺しはしないわ」

過去に何百人という人間の血を頂いたけれど、こんなに美味しいのは珍しい。…吉羅暁彦という人間自体にも興味があるし。
殺したりしない。もっとあたしに付き合ってもらわなくては。
指で彼の首筋を伝う血を拭い、牙のせいで傷ついた箇所を舐める。吸血鬼の唾液は些細な傷なら瞬時に治してしまうから。
あたしは体を起こし、吉羅暁彦の乱れに乱れたシャツをしっかり整えてやるとコートを適当にその身にかけた。
吉羅暁彦が目を覚ますまで見ていてあげる程あたしは優しくはない。彼だってあたしの顔も見たくはないと思うから。

「またね、リジチョさん。誕生日おめでとう」

次はどんな事をして彼の顔を歪ませようか。
吉羅暁彦の死んだような寝顔を最後に見て、あたしはそっと部屋を出た。






…理事長ごめんなさいー!なんか…普通には祝いたくないなと思いながらネタを考えたらこんなんになっちまった!
前から吸血鬼なドSヒロインは書いてみたくて、ずっと金やんで書こうと思ってたんだけど理事長で書いちゃった(笑)しかも誕生日記念ww
誕生日なのに可哀相な理事長になりましたが、虐げられる理事長は書いてて楽しかったのでまた続編書くと思われます(攻めヒロイン好き)

とにかく理事長おめでとうー!
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