氷河さんにオススメのキス題。シチュ:教室、表情:「気恥ずかしそうに」、ポイント:「髪に触れる(or触れられる)」、「自分からしようと思ったら奪われた」です。
http://shindanmaker.com/19329 #kissodai
だそうです。なんてときめくシチュ!!
この結果が出た時、すぐに思い浮かんだ相手で書きます。はい、冥加です。
とても短文。で、冥加がエセすぎます。冥加ってどんなやつだっけ…。前髪の形しか思い出せないよ。
「……何故、貴様がここにいる」
「えへへ。冥加さんに会いに来ちゃいました」
「……何故、会いに来た」
「会いたかったからです」
そう、悪びれる様子もなく、天音学園の理事長室に入ってきた我が宿敵を、追い返そうという気が起きず、俺はただ呆れて溜め息を吐くのみに留めた。
こののんびりした女は、勝手に他校の敷地に入るなというルールや、更にその理事長室にまでノックもせずに入ってくるなというルールも、知らないのだろう。いや、知っていてなおそれをする確信犯なのか?
にっこりと、今のように柔らかく笑えば、それだけで誰もが許すとでも思っているのか。――俺は断じて許したわけではない。ただ、今は仕事が立て込んでいて忙しいのでな。説教はまた後日に回そうと思っているだけだ。
「わあ…広いなあ…」
理事長室など、さほど珍しい置物も無いだろうに、ぽかんと口を半開きにした間抜け面で部屋を見回す宿敵に、俺はその頭を強めに引き寄せた。
こいつは何をしに来た。俺に会いに来たと言ったばかりだろう。何故俺でなく室内ばかりに目を向ける必要がある?
「わわ、冥加さんッ?」
「阿呆面を見せるな。…俺は生徒会室へ行く。貴様はどうするつもりだ」
「えっと、ついて行ってもいいですか?冥加さんがいないなら、ここに居ても暇ですから」
「ならば遅れず迷わずついて来い。勝手にふらふらと歩き回って、俺に捜させるなと先に言っておくぞ」
「あ、じゃあ手、繋ぎましょう!」
そう微笑んで差し出された小さな手に、俺は一瞬目を丸くした。面食らった。どう反応を返せば良いのか分からなかった。
――迷わんようにという配慮ならば、俺の注意通りに俺の後ろをついてくれば良いだけの話だろう。幼稚園児でも出来る。だが敢えて手を繋ごうとは……まさか、手を繋ぎたいのか?
目の前の女は未だニコニコと、何が楽しいのか分からんがひたすら俺を見上げて楽しげに笑っている。邪気のない笑顔は昔と変わらんそれで、俺はつい目を逸らした。直視し続けるには、こいつの笑顔は眩すぎる。
「……まあ良い。貴様がこれで迷わんと言うならな」
「迷いません!ふふ、冥加さんの手って大きい」
「つまらん事を言うな。分かり切った事だろう」
「冥加さん、私の手は小さいですか?」
「小さい、が?」
「そうですか。えへへー」
「………」
何がそんなに楽しいんだ。体格にもこれほど差があるんだ、手の大きさもそれに比例して差が出るのは当然だろう。だが…楽しそうにしている姿を見るのは、不快ではない。
俺の手の中にすっぽりと包まれる宿敵の手は、滑らかで予想以上に小さい。力を入れすぎると、儚く折れてしまいそうだ。
――そういえば、生徒会室へ行く用事があったな。こんな所で時間を食うわけにはいかないと、俺は持っていく書類を空いている手に持ち、ドアへと向かった。
だが、その足はまた止まった。左手で繋がる女に、思い切り引っ張られたからだ。
「何、……ッ!?」
何だ、と文句を言いかけた俺は、眼前に迫り来る女の顔に、反射的に口を閉じた。
次の瞬間には顎にこいつの唇が見事にぶつかり、キスというよりは新手の攻撃といった勢いがあった。俺は顎で受けたからまだ良いが、仕掛けた側のこいつは唇だ。痛いだろうな。
案の定、顔を離したこいつの顔は歪んでいて、空いている側の左手で自らの口元を押さえている。
「痛い……。ミスしちゃった…」
「貴様が何がしたいんだ、さっきから」
「あのですね、不意打ちでチューをしようと思ったんですけど…。ミスしちゃって冥加さんの顎にしちゃいました」
「…背丈の差を考えろ」
「むー…」
悔しげに、そして痛そうに、突拍子もないことをする女は顔を顰める。
手を繋ぎたがったかと思えば、次はキスがしたかっただと?一言言えば………いや…。
余程したかったのか唇を尖らせて拗ね始めた子供のような姿に、俺は呆れるより先に可笑しくなり口元を緩めた。こいつは、いつ見ても飽きん奴だ。
「おい、見本を見せてやる」
「え?……ッ、」
ぼうっとした顔を見せるこいつの手を引き寄せ、胸に飛び込んできたその顔に俺も顔を寄せる。
寸分の違いもなく、ぶつかることもなく目の前の唇に、俺はしっかりと口づけた。
僅か二秒足らずで顔を離し、ぽかんと驚いている女に、笑い声を零す。
「不意打ちのキスとは、今のような事を指す。次はしっかり狙いを定めてからしてくる事だな」
「……で、出直してきます」
「…おい。貴様からしてきた事だろう。何故そこまで照れる?俺にまで感染る。やめろ」
顔を真っ赤にして俯く様子に、俺まで今更ながら何をしてしまったんだと我に返り、羞恥が全身を回る。
――本当に、俺は何をしているんだ。くだらん。
まだ柔らかい感触の残る自分の唇を舌でなぞり、俺はいつしか落としてしまっていた書類を拾うべく腰を曲げた。
全く、本当にこの女と居ると、ペースが狂う。
fin.
冥加の口調難しい…。久しぶりすぎてどんなんか忘れていました。
ひなちゃんも難しいー!
お題ったー楽しいな。また挑戦してみたいと思いますー。
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